鹿児島大学病院 脳卒中・心臓病等総合支援センター

第一話 2024年8月

2024年08月01日

センター長の独り言
第一話

一般の皆様に脳卒中や心臓病はどのように映っているのでしょうか?
私の専門は循環器内科なので私の感じたままを書き記したいと思います。

患者さんに『高血圧ですよ。塩分制限や減量を頑張りましょう。』と話をしても、『父もそうでしたから。生活習慣の改善も頑張りますが難しいですよね』と答えられるパターンが非常に多いです。

生活習慣を改善して薬のお世話にならずに済む人はほとんど経験がありません。だから“生活習慣病”というのでしょう。
また、『診断は心不全です。心臓の機能が少し落ちていますので、お薬を飲みながら、心不全に合った生活をしましょう。』と話をしてもあまりピンと来ていないような感じの患者さんをときどき見受けます。
一方で、『胃癌の疑いがあるので精密検査をしましょう。』と言うと、真っ青な顔になりながら『ハイ、私は大丈夫でしょうか?』とお答えになられることが多いと感じています。

もちろん癌(悪性新生物)は生命を脅かす大変重要な病気なので、そのような反応になられるのは自然です。
しかしながら医学の進歩により現在の胃癌の生存率は改善されて、心不全の生存率より遥かに高いことはあまり知られていないようです。
しかも心不全は胃癌と違って予防することが可能な病気なのです。
このセンターを通じて、正しい情報発信をして鹿児島県民の命と生活を守りたいと思っています。